製本会社が手がける雑貨文具ブランド

清美堂 清美堂
清美堂

製本会社が手がける雑貨文具ブランド

Airy note 誕生の話

SCROLL

Airy note 誕生の話

エアリーノート

Airy noteは、製本技術と新素材の融合から生まれた「超軽量ハードカバーノート」です。
その背景には、製本会社「清美堂」の挑戦と、ブランドデザインを手掛けた相川さん、商品開発を担当した東間さんの熱意がありました。誕生の裏側に迫ります。


―――Airy note 完成おめでとうございます!

秋田:ありがとうございます!社内の設備を活用しつつ、新しい素材を組み合わせたことで、他にはないハードカバーノートが完成しました。

東間:写真だけでは軽さを伝えきれないのが悔しいですが、「超軽量ハードカバーノート」というコンセプト通り、手に取った方には驚いていただけています。自慢の商品になりました。

相川:最初のコンセプトは「世界一軽い」でしたね。ただ、「世界一」と言い切る基準を考えるのが難しく、最終的に「超軽量」に変更しました。それでも、表紙、裏表紙、背に芯材が入ったハードカバーのノートとしては、非常に軽いものができたと思います。開発期間は1年、さらに調整を加えたので1年半ですね。本当にお疲れさまでした!

―――開発で直面した課題はなんでしょうか?

エアリーノート開発インタビュー
左)株式会社清美堂 代表取締役 秋田秀明 右)社長秘書兼開発担当 東間さん 

秋田:一番の課題は、壁紙という通常は製本に使わない素材を表紙に採用した点です。壁紙は折り曲げると割れることがあり、さらに芯材と糊の相性も悪かったため、何度も実験を繰り返しました。

東間:完成に近づくたびに新たな問題が見つかり、一度完成した約70gのサンプルが、最終的に3g重くなりました。それでも、現在の形が最良だと自信を持っています。

―――クラウドファンディングの反響は?

秋田:『高級感がある』と『軽い』という感想を必ずいただけます。コンセプト通りの反響で嬉しいですね。
特に人気が高いのは、Airy note premium の【ダークロココ】です。光の加減で表情が変わる深みのあるデザインで、男女問わず支持されています。

東間:展示会では【ダイヤ柄】や【ブロンズパトリーナ】も人気でした。それぞれ独自の魅力があり、多くの方に選んでいただけています。

秋田:通常のAiry noteは表紙にエンボス紙を使用しており、クロコダイル柄なので仕事用として使ってくださる方が多いですね。100ページというボリュームと、滑らかな書き心地のオーク手帳用紙が好評です。

エアリーノート画像
ライトロココ/ダークロココ
エアリーノート画像
ホワイトダイヤ/ブラックダイヤ
エアリーノート画像
ブロンズパトリーナ/ルビーラスト
エアリーノート画像
クロコダイル

―――製本会社としてのこだわりを教えてください。

秋田:製本屋として特にアピールしたいのは、小口(ノートの側面)を黒染めしている点です。これは刷毛を使って手作業で塗っています。

東間:ノートの枚数も挑戦でした。ミシンで縫える最大枚数を目指し、薄くてもインクの裏移りがないオーク手帳用紙を選びました。この紙は初めて使いましたが、書きやすくて私自身も気に入っています。

秋田:さらに、清美堂独自の「強ミシン綴じ」にも注目してほしいですね。
清美堂の特徴として、本文の紙を折る部分を補強する寒冷紗という紙を他の製本会社はミシンをした上から貼るのですが、清美堂では本紙(見返し)に寒冷紗を貼ってからミシンで縫います。これはお子さんが絵本を投げたり振り回したり360度開いたりしても表紙と本紙がバラバラにならない工夫で自社オリジナルで作ってもらった機械を使っているので他には真似できません。
これまでは製本の一般用語である「中ミシン綴じ」と紹介していましたが、今回のプロジェクトを通して自社の強みを伝えるために強度が高いという意味から「強ミシン綴じ(つよミシンとじ)」を名付けました。

―――普段の製本との違いはありますか?

秋田:薄物といわれる、ページ数の少ないハードカバーの製本をおこなっているので、絵本・パンフレットなどがメインになります。
特に絵本は誰もが一度は手にしたことがあると思いますので、イメージがつくかと思いますが、背表紙にタイトルがあって、表紙・裏表紙、本文。本文と表紙をくっつける見返しといった作りです。本の大きさは凡そは決まった形がありますが、真四角だったり横長だったり縦長だったり、様々でその時の依頼に合わせて紙や芯材を裁断していきます。今回はこの大きさになるんだな、この枚数なんだなといった変化くらいですね。

東間:もちろん細かな違いはありますが印刷会社や出版社からの依頼はだいたいいつも決まった流れなのでそれに合わせてスケジュールなど様々な手配をします。

秋田:いわば下請け工場ですので、自分達で考えて仕様を決めるという事自体が今回はじめてでした。【仕様を言ってくれればそれに合わせて作る】という仕事と、【どんな商品を作りたいかに合わせて仕様を決めていく】という開発は全然、ほんとうに違いました。

―――初めての商品開発で得たものどんなものでしょうか?

東間:今回は相川さんにディレクションいただきながら、強みを生かしたコンセプトを最初に作って、逆算して素材や内容を決めていきました。たとえ良い素材でもコンセプトからズレたらダメなんだなととても勉強になりました。

エアリーノート開発

相川:とにかくアイデアは広げていっていただきましたが、それをまとめる段階でみなさん大変そうでしたね。面白いアイデアだけど自社の設備では叶わなかったり、アイデアは良いけど該当する素材が見つからなかったり。

東間:そうです。これまでコンタクトを取ったことが無い業種の企業にも相談をしたりと非常に勉強になりました。製本も突拍子もないアイデアを簡単に形にできる仕事ではないですが、私たちのアイデアは突拍子もないものも多かったなと今では思います。

秋田:でも、今回は製本の形状としてノートを作りましたが、違ったものも作りたいですね。

―――新たな一歩へ

清美堂エアリーノート誕生秘話

秋田:素材の見直しや職人の創意工夫で、まだまだ挑戦できることを実感しました。この経験は日常の製本業務にも良い影響を与えていると思います。
初めてのプロダクト開発で試行錯誤の連続でしたが、多くの学びがありました。Airy noteはその集大成として自信作になりました。次はまた新しい挑戦をしてみたいですね。

上部へスクロール
上部へスクロール